ちつないしゃせいしょうがい

腟内射精障害

最終更新日:
2020年11月12日
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2020/11/12
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概要

腟内射精障害とは、マスターベーションでは射精できるのに“性交のときに腟内に射精できない状態”のことをいいます。性交渉の際に、双方の満足度を低下させる原因になります。

腟内射精障害は、不妊治療の際に行われるタイミング法をきっかけとした義務的な性行為を契機に発症することもあれば、マスターベーションの仕方に問題がある場合もあります。

腟内で射精ができないということから、男性不妊の一因になることもあります。そのため、カウンセリングやマスターベーションの仕方の工夫などを交えながら克服することになります。

その一方、腟内で射精ができないからといって必ずしも妊娠しないという訳ではないため、妊娠が望まれない性交渉をする際には通常の避妊方法をとることが必要です。

原因

不妊の原因としては、男性に原因があることもあれば女性に原因があることもあります。男性が原因となる不妊として、射精に問題があることもあります。射精に関係した不妊症としては、無射精症、逆行性射精などがあり、腟内射精障害は射精に関連した男性不妊の原因となりうる病気の1つです。

腟内射精障害の原因としては、心理的な側面と習慣的な側面があります。原因として近年多いものとして、不妊治療中のタイミング法(パートナーの排卵日に合わせて性交渉を行う不妊治療)により、男性が「今日は射精しないといけない」という過度のプレッシャーを感じてしまうことがあります。このタイプの腟内射精障害では、プレッシャーによってパートナーの腟の中でなかなか射精できず、最後は“中折れ”の状態になって終わってしまいます。

また、腟内射精障害は不適切なマスターベーションの習慣によっても起こってしまいます。陰茎を布団や床に押し付けるなど硬いものを用いてのマスターベーションや、陰茎を強く握ったり、速く手を動かしたりするマスターベーションなどの習慣がついてしまうと、マスターベーションの感覚が腟内に挿入したときの感覚と明らかに異なってしまうため、腟内で射精をすることができなくなってしまいます。

ハードコアポルノなど通常の性行為とはかけ離れた題材で興奮し射精してしまっている人も腟内挿入で興奮し辛くなり、腟内射精障害になる可能性があります。これらの影響により、性交時における性欲、興奮のトリガーが通常の性行為の刺激とは異なるため、腟内射精障害としての症状を呈することもあります。

そのほか、内服薬の副作用(抗うつ薬など)、アルコール依存、手術、糖尿病などといったものに関連して腟内射精障害に至ることもあります。

症状

腟内射精障害では、マスターベーションでは射精ができますが、性交渉中に腟の中で射精できないといった症状を呈します。パートナー双方の性交での満足度が低下する原因にもなります。

射精ができないことから、不妊症の原因となることもあります。また、パートナーとの満足を得ることができず、負のスパイラル的に性交渉に対しての自信喪失につながることもあります。

検査・診断

腟内射精障害では、問診における症状を聴取することから病気が疑われることになります。マスターベーションの方法が問題になっていないかについて聞いたり、特定の状況のみで生じていないか(ある相手に対しては射精できない、タイミング法のときはダメである)などを確認したりすることも大切です。アルコールの摂取量が多いと腟内射精障害につながることもあるため、飲酒歴も重要です。さらに医薬品の服用に関連した症状であることもあるため、内服歴を確認することもあります。

また、糖尿病を始めとして身体的な病気に関連して腟内射精障害を呈することもあるため、勃起障害の有無の確認、血液検査(HbA1cや血糖値の確認など)を行うこともあります。

治療

腟内射精障害の治療は、内服薬、サプリメント共に有効といわれているものはありません。そのため腟内射精障害の原因を同定し、その都度その原因に対してのアプローチ方法を検討することが重要です。

たとえば、マスターベーションの仕方が腟内射精障害の原因であると考えられる場合には、その方法を変更するのが1つの治療です。性交渉中に自分の性的感覚に集中する、器具を用いてマスターベーションの方法を矯正するといった方法が挙げられます。また不適切な性的内容によるマスターベーションを行っている場合は、行動療法や心理カウンセリングで興奮するトリガーを修正する必要も出てきます。

早期に挙児(子を授かること)を希望する場合には、マスターベーションによって精液を採取し、精子を子宮内に注入する人工授精が行われることもあります。

また、不妊治療からくるストレスが原因と考えられる場合には、性交渉のあり方をパートナーと話し合うことも重要になります。タイミング法において排卵日前後のみの性交渉を義務的にこなすのではなく、愛情交換の1つの機会として捉えることができるよう、可能な限り心理的なストレスを取り除くことが求められます。

アルコール摂取や薬、糖尿病などの病気が原因と考えられる場合には、飲酒量の制限や原因薬剤の中止、糖尿病や勃起障害に対しての治療介入なども求められます。

性交渉のあり方は人によりさまざまです。不妊カップルに限らず、通常の状態でも腟内射精障害がある場合は、そこに身体状態や心理的な原因が隠れていることがあります。生殖医療や性機能を専門とする医師は性交渉に関してもさまざまなケースを経験しているため、相談してみるのもよいでしょう。心理的な原因が主であれば、性カウンセリングを受けてみるのも1つの手段です。

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